
仏沼の概要
青森県三沢市の北東部(北緯40°41、東経141°22)に位置する仏沼は東に太平洋西に小川原湖にはさまれ、周囲に休耕田や水田が広がる250haに及ぶヨシの湿原である。もともと淡水の沼だったところを昭和38年から干拓し水田化する事業が進められ、周辺農家に払い下げられたが、昭和45年からの減反政策によって作付けがなされないまま放置され、一面のヨシ原と化してしまったところである。仏沼干拓地を管理する北三沢土地改良区では米作りが再開出来る日が来る時に備えて、火入れやポンプによる水抜きをおこなって干拓地の管理を続けてきた。
昭和48年、六ヶ所村市柳沼でオオセッカの生息が確認、その後ここ仏沼でも発見された。前年の昭和47年には、青森県西津軽郡車力村ベンセ沼湿原で生息が確認され、幻の鳥の再発見と話題をまいた鳥である。前後して、秋田県八郎潟干拓地でも確認され、日本での生息数は2000?2500羽位と推定される貴重な鳥で、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種?B類に指定されている。開発など環境の変化により八郎潟での生息は無く、現在の調査によると仏沼にはそのうちの1000羽近くが生息しており、世界最大の繁殖地となっている。
他に絶滅危惧種?B類のオオヨシゴイやサンカノゴイ、絶滅危惧種?類のコジュリン・チュウヒ・シマクイナなどの貴重な種が生息している。
また昆虫では30数種のトンボが生息し、絶滅危惧種?類のオオキトンボや準絶滅危惧種のカラカネイトトンボなども見られる。
チョウでは絶滅危惧?類のゴマシジミや絶滅危惧?類のヒメシロチョウが生息し、甲虫では同じく絶滅危惧?類のマークオサムシなどが生息している。
植物を見るとヒンジモ(絶滅危惧?A類)、ジョウロウスゲ・エゾナミキソウ(絶滅危惧?B類)イヌハギ・オオニガナ・オオアカバナ・ミズアオイ・スズサイコ・キキョウ(絶滅危惧?類)ミクリ(準絶滅危惧種)など身近では見られなくなった植物が生息できる自然度の高い地域となっている。
このように仏沼が持つ他に類を見ない豊かな生態系と、渡り鳥の重要な中継地となっていることが評価され2005年11月ラムサール条約指定湿地に登録された。
将来に向けて、行政や自然保護団体・農業団体によって仏沼を生息の場とする生物の保全とラムサール条約の目標でもある環境教育や地域による賢明な利用が進められている。
仏沼の現状と課題.pdf